よしながふみんさん紹介、第4回は「愛すべき娘たち」です。
・・・・・・・まだ「きのう何食べた?」が出てきません(笑)。
さて。
この「愛すべき娘たち」。
これも、あらすじや登場人物は省略します。
代わりにはなりませんが、私がこのマンガで泣いた、そしてあえて紹介するキモチを切々と(?)書いてみます。
BLではありません。その意味では読者を選びませんが、内容の濃さは、読者を選ぶ、そんな気がします。一方で、100人いれば100とおりの解釈が成り立つわけですが、100人それぞれがどこかに心揺さぶられる、きっとそんなマンガだと思います。
母と娘が軸で話が進むので、母対娘ってのが女対女、だよな~なんて人にはわりととっかかりやすいと思います。
母がいきなり娘より年下の男を再婚相手として連れてきて、彼が元ホストで今は役者見習い、母は手堅く公務員ってことで「どうみても騙されてます、本当にありが(ry)」てなスタートなんです。ですが。読み進むと、母と娘ってのが感情のぶつかり合いになってしまいがちなことをしんどく感じている「娘」の立場な読者は「あー、あるある!!」って共感すると思います。そして「母」の感情の一端を、理解できるかもしれない(私は母の立場を知らないので絶対とは言えませんが)。そして元ホストの義理父にほのぼのさせられる(笑)。
大きく分けて、主人公と母という第1話、母の再婚相手の友人と教え子という第2話、主人公と大学時代の友人のことを描いた第3話、主人公とフェミニズムな友人を描いた第4話、主人公と母と祖母を描いた第5話、と分けられます。
この5つのカテゴリの、登場人物のいずれかに、女性ならば共感してしまうと思います。母かもしれないしフェミニズムな友人かもしれないし。第2話の法学の先生(母の再婚相手の友人)と教え子のエピソードは単純にカラッと笑ってすごす方が幸せかな。考え出すと深い内容は含んでいますが。
私の場合、末期癌と宣告された母と同居して数年、女と女ってこんなに暮らしづらいものかーー、などと感じること多々なので、根底に流れる「母と娘」の物語では共感しまくりーの、第3話の、心から人を愛せず、最後に修道院を選んだ主人公の同級生にも感情移入しいの(以前、高村薫さん最新刊「太陽を曳く馬」で触れましたが、私には出家願望があります)、フェミニズムに傾倒するしかなかった男性不信の第4話でぼろぼろ泣きーの、娘を「かわいくない、かわいくない」と育てた祖母、娘を「かわいい、かわいい」と育てた母それぞれに「お母ちゃんて奥深いわーーーーー」なんて思いーの。
シリアスな話になりますが。
私はあまりこのブログでも触れたことがありませんが、兄がいます。今どこで何をしているか分からない兄が。
おそらく、母は末期症状でモルヒネなど投与されて意識がもうろとしたとき、私ではなく、兄を呼ぶと思います。そう覚悟しておかないと、いざそうなったとき辛すぎるから、あえてそう考えています。
子どもの頃から、何かにつけ兄が優先され、かわいがられてきました。思春期ってやつをすぎればそんなくだらない考えから離れられるかと思ったのですが、そうでもないようです。子ども時代に区別して育てられた記憶は、区別された側にしかわからいのです。
今、末期の母を抱えて必死に仕事を掛け持ちし、わずかな睡眠時間で生活する私よりも、どこかでのんきに暮らしているであろう兄に、母は会いたがるだろう、というのは確信に近いです。あまりに残酷だけれど、それがおそらく真実なんです。
・・・・・書いてて涙出てきました。夜勤明けにガーッとビール飲んだんで許してください。。。
たまに訪れる親戚も「お兄ちゃん探さなくていいの?」と言いますが、スルーしています。そして私は看護と介護、生活費の稼ぎ、すべてを一人で背負い、母と兄とが背負うべき業まで自分ひとりの胸にしまおうとしています。
・・・まあ、自分ひとりの胸にしまいきれず、精神科にかかりカウンセリングも受けたわけですけど。
私はもし自分が子どもを持ったら、その子をかわいいかわいいと育てると思います。自分がなされなくて悔しかった分まで。でもそれがその子にとって幸せか?というと決してそうでないこともわかっているから、私は子どもを産まない、結婚しないという選択で生きてきたし、生きていきます。
正直なところ、私はフェミニストが大嫌いです。大学時代、ジェンダー問題を卒論にしていた女性が、同和問題について「差別なんて、時間が解決する」と実に素晴らしい持論を吐いてくれた瞬間「女性差別もきっと時間が解決しますね」と嫌味かました奴ですから。
でも。
女性と女性が2人で暮らしていく。そこには「理論」の入る余地はあまりなく、感情のぶつかりあいになってしまうことを身をもって知っている私は、フェミニストではないけれど、女って生き難い生物だな~なんて思います。
母の気持ちはわかるようなわからないような。
そんな母を育てた祖母の気持ちもわかるしわからないし。
娘の気持ちはすげえわかる。
娘の友人で人を愛せない人の気持ちもすげえわかる。
フェミニスに傾倒した友人の気持ちも、その友人を見守る友人のキモチも死ぬほどわかる。
読んでいて。いちいちどの話も自分に置き換えてしまうと、しんどい。
しんどすぎて、読めなくなる。
それくらい、濃い内容が詰まっている。
でも、ほろっと温かい涙を感じる。
そんな不思議な感覚に覆われる
ああ、お母さん孝行してみようかなあ、人を愛してみようかなあ、なんて。
それが、この「愛すべき娘たち」です。
次回は「彼は花園で夢を見る」です。これの後は・・・BL一色になります(ゴクリ)。
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